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    他ジャンル/バサラ

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      幸村×佐助
      死ネタ要素含みます


      確かに私は貴方に愛されたのでしょう。
      壊れものを扱うように丁寧に、丁寧に。
      それと沢山の愛情を注いでくれたのですからね。
      それでも貴方は最後まで言ってくれませんでした。
       
      愛している、と。
       
      その一言で事足りるというのに、貴方は遠回りをして。
      おかしな人。たった一言ですむ、と分かっていながらわざわざ苦労なさるのですもの。
      怖かったのですか? 今更ですね。
      私が貴方のことを一番知っているというのに、そんなことを聞くなんて。
       
      けれど、ね。私でも分からないことがありますのよ。
      貴方は、私を愛していたの? なんて、矛盾してますね。
      ああ、こんな月の良い日は人も獣もおかしくなるのですね。
      聞きたいのですか。そう。変なお方ね。
      死んだ人の話を聞きたいだなんて──。
       
      その人は絢爛な炎を身にまとい、その心さえも炎の如く燃えあがっているような逞しい方でした。
      戦にでれば先陣を切って進み、敵を恐れぬ姿が敵からも味方からも恐れられていたそうです。
      私が出会ったのは戦の中でした。
      今は没落した城の姫でして、人質として陣の中に囚われていたのです。
      助けてくださったのは、言うまでもないですね。
      その方が助けてくださったのですよ。
      とても魅力的でした。
      臓物さえ焼き切るような熱い炎と赤色に私は見事に惚れてしまったのです。
      そのあと、少し色々ありまして私の家は滅び、町に逃れました。
      そこでまたお会いしたのですよ。
      あの方に。あの方は私のことなんて覚えてないだろうと思ったのですが──、
      あら。その部分はよいのですか? ……そうですか。
      あの方の愛し方を教えろだなんて嫌な方。
      私とあの方の秘密にはさせてくれないのですね。
       
      あの方は優しくしてくださいました。
      けれど熱を持った身体も瞳もいつも何処かを見ているように遠かったのです。
      それでも私はあの方が好きでしたから、何も言いませんでした。
      あんなに誠実な方が浮気することなんてないでしょうし、他の女の影は見当たらなかったものですから。
      情事の中にも睦言の中にも「愛している」だなんて甘い言葉聞いたことありませんわ。
      きっと、何処かにいる人にあの方の情はうつっているのでしょうね。
      それがたまらなく悔しくもあり、一途な方だと思う面もありました。
      時は過ぎるものです。大きな戦、ええ。あの方が死んだ戦です。
      その前に私言いましたのよ。
       
      愛していると言って。
       
      とね。けれど、あの方は言いませんでした。
      哀愁を帯びた瞳で私を見て「すまん」とだけ言って出て行ってしまはれましたわ。
      帰って来ることはなかったのですけどね。
      少し、あの方の想い人に嫉妬してしまいますわね。
      死の間際になってもきっとあの方は想い人だけを想って死んで逝ったのでしょうから。
       
      普段の生活ですか?
      それは満たされておりましたわよ。
      いつも笑顔で、おもしろくって。
      城の中では味わえなかったものを味わえたような気がします。
      あの方は戦人。死なんて覚悟しておりましたのよ。
      ふふ。流石旦那の選んだ方、だなんてお恥ずかしいですわね。
      私は昔の女にも勝てぬほどに魅力がないのですよ。
      そんなことないだなんて。ありがとうございます。
      ──できればあの方が最後まで想った方を知りたかったですわね。
      もうお帰りになられますか。
      気をつけてくださいね。夜は危ないですから。
      ええ。ではまたお会いできる時があれば。
       
      **
       
      「旦那の馬鹿野郎……」
       
      天を見上げ佐助は呟いた。
      けれどその言葉に怒気はなく、悲しさと何処かに嘲弄の気も含まれていた。
      もうじき雨が降るのだろう。炎を消すような大雨が。
      矢の如く降り注ぐ雨が。
      あの人もそんな中で消されてしまったというのだろうか。
       
      最後まで、佐助を想って。
       
      愛している、と言われればそれだけで満足なのに。
      貴方はそんな遠回りな愛し方しかできなかったのか。
       
       
      (そこまで想われてたら俺はどうすればいいんだよ。畜生。どうして、俺に言いに来なかったんだよ。俺だって旦那を愛してるのに、どうしてあんな女なんかと結婚したんだよ。だから俺のことなんてどうでもいいって思って、諦めたのによ。あの馬鹿。残った俺の想いは誰にやればいいんだよ)
       
      終わる

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